甲木伸一先生から
今この原稿を書いているのは令和2年4月16日木曜日です。2月28日金曜日に翌週からの臨時休校決定を伝え、重い荷物を持たせてばたばたと下校させてから今日で48日目です。
みなさんは今自宅にいて、どのような心境ですか?私はいつもの職員室に居ながらもなんとなく落ち着かない心境に支配されるようになってきて、緊急事態宣言が出され、臨時休校が5月6日まで延長されるに及んで、今その気持ちはますます強くなりつつあります。
仮に5月6日に休校が終了するとしても、丸2か月間にもわたって全く授業をしなかった経験は、私が教員になってからの二十数年間に一度もありません。それどころか、日本全国の高校教師の中にもそのような経験をした先生は(個人的な事情を除いては)ほとんどいないでしょう。1918(大正7)年の所謂スペイン風邪が、現在の状況との比較で最近よくマスコミ等で引き合いに出されていますが、それ以来の未曽有の歴史的な事件に我々は直面しているのです。
この、現在の地球上に生きている人類のうちで誰しもが経験しておらず、したがって誰も有効な対処法が分からず手探り状態にある、将来の見通せない不安な状況のなか、自分は「今」何をなすべきかひとりひとりがしっかりと考え、行動に移してゆかねばなりません。
と偉そうなことを書きましたが、教師の最も大切な仕事である(と信じる)授業ができない今、では生徒に対して「今」何をなすべきか、何ができるかを考えていますが、いい考えは浮かんできません。この東校の他の先生方も同じだと推察します。それでも時間だけが無常に過ぎていきます。
今自宅に待機している生徒諸君も、私と似たような心境であることを信じます。
思考を停止させて、日々を無為に過ごしてはいけません。「今」できることは何かを考え、着実に実行していきましょう。今の状況は決して永遠に続くわけではなく、いつかは必ず終わる時が来るのです。終わった時にその成果を得られるはずです。
「今」こそ、ひとりひとりが問われているのだと思います。
自戒の意味も込めて、君たちへのメッセージとします。
社会科 甲木 伸一