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福岡県高等学校保健会論文 最優秀賞受賞

最終更新日 [2020年12月4日]  

「心の距離」
福岡県立朝倉東高等学校 ビジネス情報科2年 折田 秋桜(甘木中)

 「新しい生活様式」今では毎日のように耳にする言葉。家庭内はもちろん、学校や飲食店などあらゆる場面で求められています。しかし、一年前はこの言葉すら存在しませんでした。この言葉は、世界規模で社会問題となっている新型コロナウイルス感染症の拡大により生まれた言葉です。
 事の始まりは、中国の湖北省武漢市。一月二十六日に国内で初めての感染者が確認されました。二月に入ると、ダイヤモンド・プリンセス号乗客の感染が確認され、船上隔離されました。九州初の感染者も確認されました。マスクやトイレットペーパーの品切れなど、日常生活に影響が表れてきたのもこの頃です。二月二十七日には全国の学校に休校要請が発令され、私たちの学校も休校になりました。いつまで続くかわからない休校、全てが急のことでバタバタと不安でいっぱいでした。約三か月の休校の間に東京オリンピックの延期が決まり、緊急事態宣言が発令され、一月の時点では考えられないところまで感染が拡大していきました。五月にオンライン授業が始まりましたが、六月にやっと学校が再開されました。しかし、そこには今までの日常はなく「新しい生活様式」を意識した学校生活の始まりでした。
 新しい生活様式のうちの一つが身体的距離の確保です。会話をするとき、食事をするとき、どの場面でも距離を空けなければいけません。公園のベンチやレストランの席、コンビニのレジ前など、いたるところで様々な工夫がされています。在宅勤務の人が増え、私たちも授業中の話し合い活動がなくなりました。身体的距離を確保することは、感染予防のためにとても必要です。ではそんな時、心の距離はどうあるべきでしょうか。
 私は、身体的距離を確保することと同じくらい、心の距離を近づけることが大切だと思います。心の距離を近づけるとは、相手を思いやるということです。新型コロナウイルス感染症が拡大してから、他県ナンバー狩りや医療従事者への差別が問題になっています。これらの差別は「他県ナンバー」「医療従事者」という表面的な情報のみで判断していることから起きています。例えば、他県ナンバーの車が停まっていても、仕事で来ているのかもしれない、実はそこに住んでいるのかもしれない、とちょっと想像することができればこのような差別は起こりません。
 今年の夏の人権学習で聞いた「差別は無知から生まれる」という言葉が心に残っています。知らない、分からないという恐怖が差別につながるのです。相手のことを知ることで、思いやりの気持ちが生まれます。そして、心の距離が近づき社会全体が一つになります。それはコロナと戦っていく上での大きな力になると私は思います。
 身近な学校生活でも心の距離を近づける方法はあります。学校は学びの場ですが、コミュニケーションの場でもあります。しかし、以前のように学校行事はもちろん、友達とくっついておしゃべりしたり、笑いあったりすることが難しいのが現状です。また、みんなマスクを着けているので表情が読み取りづらいこともあります。このままでは、自然と心の距離は離れてしまいます。身体的な距離を保ったまま、マスクを着けたままでもできること。それは言葉にすることです。「おはよう」「ありがとう」当たり前に使う何気ない一言ですが、相手の目を見て伝えるだけで自然と笑顔になります。私は、休日に友達と遊ぶタイプではありません。その分、学校ではいろいろな話をします。昨日見たテレビの話、お母さんと喧嘩した話、将来の夢。みんなの話を聞くのも楽しみの一つです。でも、休校中は友達と会うことがなかったので、ひとりでとてもさみしく、友達との心の距離を感じました。学校再開初日、昇降口で久しぶりに会った友達と「おはよう。久しぶりやね。」この一言で、休校中のさみしさはどこかへ吹き飛んでいきました。一気に心の距離が近づいた瞬間でした。以前のように近い距離での会話はできなくても、何気ない一言で笑顔になれる。挨拶の必要性を改めて感じました。挨拶は、言う側も、言われる側も嫌な気持ちはしません。むしろ気持ちがいいものです。まさに心の距離が近づいているということです。マスクで表情が読めない分、友達の言葉を一つ一つ聞こうとするし、伝えようとする。この関係が大切なのだと思います。
 私の中で「バイバイ、また明日。」は魔法の言葉です。また明日と言える友達がいること、また明日になればみんなに会えるということが、心の距離がゼロになったと感じる瞬間です。これからも「また明日」と言えるように、当たり前に使う何気ない一言ひとことを大切にしていこうと思います。

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